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父の命日 賞味期限がニクかったあの頃。

IMG_6714.jpeg 7月7日、父の命日。54歳でガンで逝ってしまった。あの頃、賞味期限がニクかった。

 この缶詰は、父より長生きする、このレトルトは、父より持つ。そう思うと、言い知れない憎しみが湧き上がってきた。

 厳しかった父とは15歳で絶縁し、ガンで夏は越せないと医師に言われるまで、冷戦状態が続いた。亡くなる日、病室に親戚一同が集まった。

 私は、知らず知らずに父の手を握る。握ると、弱い力で握り返して来る。そんなキャッチボールが何度続いただろう。今度、握り返して来なかったらと思うと、怖くなり、強く握った。

 もう片方の手は、さして仲がよかったわけでもない、叔母(父の妹)が握った。父親っ子だった妹には、「あたしが握る手はなかった」と、あとで恨まれた。

 早朝、むせ込んだと思うと、大量の血を吐いて、父は絶命した。母は、病室の一番後ろに身を潜めるようにして、立っていた。

 まさかこんなに早くに夫に先立たれるとは……。放心状態だったのだろう。

 いたずらっ子の叔父が、亡くなったばかりの父の足を裏をつつく。「まだ硬くなってないなぁ」。妹はひどくイヤな顔をしたが、私は不思議と救われたような気になった。

 そうだ、こんな時こそ、笑おう。

 あれから、いろいろなことがあった。父が亡くなった時、受験生だった妹は、受験を翻弄され、浪人。

 これからどうしたらいいかと狂乱した母は、生意気口を叩いた妹に「18歳のあんたはまだいいわよ。あたしはもう50歳なのよ!」と平手打ちをかまし、妹とは疎遠になっていった。

 どうしてあの時、「お父さんは亡くなったけど、来年受験がんばらろうね」と、ひと言言ってやれなかったのだろうか。その妹も34歳でガンで亡くなった。

 母は過度のストレスで、難病を二つも発症し、その他にも人生を呪ってもいいほどの、たくさんの病気を抱えることになる。

 私も40歳を過ぎて、乳がんを患った。乳がんのホルモン療法を続けているが、飲んでいるタモキシフェンの副作用で体調を崩す日も多い。

 つくづく、不幸の続く家だと思った。いまは母と二人、無理をしない毎日を送っている。

 カレーが好きだった父。今日は雨だが、豚肉を買ってきて、カレーでも作ってやろう。親不孝だった私の、せめてもの罪滅ぼしだ。
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プロフィール

カエルのロビン

Author:カエルのロビン
フリーランスの記者&編集者。星野源と加瀬亮が好きといえばオシャレだと思っている。何歳からアラフィフか母親と協議中。数年分の旅行記と食べ歩き日記を順次アップしていく予定ですので、よろしくお願いいたします。★リンクフリーです。

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